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2020.08.18 コラム

使いやすいキッチンレイアウトは?使い勝手比較【part1】

おうちのリフォームの中でも人気が高いのがキッチンのリフォーム。システムキッチンを新調するだけでなく思い切った配置換えをするキッチンリフォームも少なくありません。使い勝手が悪いキッチンや閉鎖的で暗いキッチンを、ストレスフリーで居心地の良い場所に変えるための配置や間隔の目安など、参考にしたいルールがある一方で、使う人の感覚や間取りの違いによってキッチンの作り方は千差万別のためルールも万能とはいきません。「ルールは破るためにある」というのも一理、このページでは絶対に外したくないポイントとフレキシビリティが生かされた例を合わせてご案内しながら、あなたにとって一番使いやすいキッチン・台所作りをお手伝いします。

 
1.家事動線の基本はワークトライアングル
おうちの台所の動線を考える際によく使われる「キッチン ワークトライアングル」という言葉は1940年代の後半にアメリカで行われた研究ではじめて言及されました。イリノイ州のビルディング・リサーチ・カウンシル (BRC)が行ったこの臨床研究ではキッチン空間の効率性が追求され、その成果として貯蔵(冷蔵庫やパントリー)- 下ごしらえ(シンク)- 調理(コンロ)の3つの機能の中心点を結ぶ線が最も効率的になる距離が割り出されています。3点を結ぶ線は、作業スペースが十分に取れるようそれぞれ1.2m以上であるべきとされます。ただこの目安は一人でキッチンに立つことを前提としています。お料理は毎日ご夫婦で協力しあって行う、といった場合はシンクとコンロの間が120cmでは少し狭い印象を受けるかもしれません。この場合はもう少し間隔をあけるか、複数人数でも料理しやすいL型やアイランドキッチンなどを考えてみてもいいかもしれません。それぞれの辺の合計は3.6~6mがいいとされています。ちなみにアメリカでは体型の違いやスペースが確保しやすい住宅事情もあってか、辺の合計は一回り大きい4~8mという数値が使われています。海外暮らしが長くスペースに余裕があるのに慣れている場合などは少し余裕をもたるといいかもしれません。理論的にはトライアングルの各辺の長さが等しい正三角形に近い方が使いやすいとも言われますが、調理の順序から考えると冷蔵庫から食材を出し、洗って下ごしらえ、コンロで調理という流れが通常でコンロから冷蔵庫に戻ることはあまりないことから、冷蔵庫までの二辺がより長いような形になるのが通常です。
・ゴミ箱は作業台の近くに
トライアングルを構成する要素に組み込まれてはいないものの調理中使うことが多いのがゴミ箱。シンクや作業台から遠いと野菜屑などの水が垂れていちいち床を拭く手間がかかります。ゴミ箱はシンク下のスペースに隠すと調理がスムーズになるだけでなく、住空間がかなりすっきりした印象になります。欧米ではシンクしたのゴミ箱はかなり一般的ですが、湿気がこもりやすく害虫が湧きやすい日本では蓋付きのものにするなど配慮が必要です。
・使用頻度によっては電子レンジも動線に組み込んで
最近は野菜の下ごしらえなどで電子レンジを調理中に頻繁に使うという方も増えてきています。電子レンジや炊飯器、独立型のオーブンなどご家庭によって使用頻度が多い調理機器が他にもある場合は、お料理の動線に組み込みやすいよう計画することも必要です。
・水切りかごのスペース
毎回の食器洗いが面倒だからとまとめてする方はどれくらいいらっしゃるでしょうか。家族の人数にもよりますが、たまった食器を一度にすべて洗って干すには大きな水切りラックが必要で、作業用のスペースがまるまる潰れてしまうようなこともあります。手洗いであれば水切りラックが作業スペースを浸食しないよう事前に計画しておくほうがいいかもしれません。キッチンのリフォームで食器洗い機をご検討であれば、場所を取るステンレスのラックは必要無くなります。
 
2.レイアウトの型は4つ
ワークトライアングルを構成するシンク、調理器具、冷蔵庫(食品棚)の関係性からキッチンの配置は大まかに分けて「I型」「Ⅱ型」「L型」「U型」4つのパターン(型)があります。
・I型(1列型)
メリット:省スペース、安価な商品ラインナップも豊富、配管等がしやすい、窓からの採光がしやすい(以上いずれも壁付けの場合)、直線で移動が楽
デメリット:間口が伸びると作業中の移動が増えて疲れる、逆に短すぎると使いにくい
日本では一番よく見かけるキッチンの型がI型(1型)です。シンク、コンロ、冷蔵庫が一列になっている配列は移動が一直線で使いやすいと言われます。I型を導入する際に気を付けたいのが、先ほどのワークトライアングルの法則でご案内した最小3.6mという数値はI型の場合さらに短い2.7m程度に抑えた方が移動を少なく抑えられるということ。さらに冷蔵庫の横はシンク、そしてその横がコンロのように、作業の順番に沿った配置にしないと無駄な移動が増えます。
・Ⅱ型(2列型、セパレート型)
メリット:作業動線が短い、省スペースの対面プランが可能、2列の間をゆったり取ると、複数での調理がしやすい
デメリット:振り向く動作は大変な場合も、作業中床を汚しやすい、2列の間をゆったり取ると一人での調理がしにくくなる
一昔前はキッチンがリビングやダイニングと分かれた独立型(クローズ)プランで採用されることが多かったⅡ型(2列型)ですが、最近はオープンキッチンで対面式にする際に採用することも多くあります。コンロとシンクが別々になっていることからセパレート型と呼ばれることもあります。対面部分がシンクもしくはコンロのどちらか一方だけのため、横幅が比較的狭いダイニングキッチンでも対面型を実現することができます。2つの列の間は一人で作業する場合は85cm程度が良いとされ、これ以上になると移動が長くなり疲れると感じる方が増えます。一方で2人以上での利用は120cm程度の間隔が欲しいところです。2列型の場合一人利用を優先するのか、複数利用を優先するのかでいずれかの使い勝手を犠牲にする必要が生じる点が、他のレイアウトにはない大きなデメリットと言えそうです。
・L型(L字型)
メリット:作業動線が短く移動もスムーズ、省スペースの対面プランが可能、壁付けの場合は大人数での作業がしやすい
デメリット:コーナー部分の作業台下は収納しにくい
海外のキッチンでよく見かけるL型のキッチンは、広いキッチンスペースを贅沢に使うプランや製品も多いためより多くのスペースが必要と言われます。ただ、年数の経った建物が多い欧州では狭いスペースに設備を詰め込むためこうしたL型が採用されていることもあり、L型ゆえに広いスペースが必要というのは正確ではありません。アイランドキッチンなどが流行り始めるまでは、大人数で楽しく料理ができるキッチンと言えばL型キッチンだったと言えます。今でも、ホームパーティ好きや料理教室を開きたい方などを中心に人気は健在です。L型が優れているところは調理動線がスムーズであるところと言えます。シンクからコンロまでは身体を90度振り返らせればいいだけで、横の移動距離が伸びがちなI型や、180度振り返ってのコンロとシンクの行き来が必要なⅡ型と比べると、どんな方にとっても使いやすいと言えるのがL型と言えます。
・A型
メリット:作業動線が短く移動もスムーズ、省スペースの対面プランが可能、コーナー部分も使いやすい
デメリット:選べる商品が少ない
ワークトライアングルの観点ではL型とほぼ変わらないものの、Lの角になる部分にもう一辺足すことで「A」のようなラインを書くA型というキッチンレイアウトもあります。L型の改良版と考えことができ、L型の良さをそのまま引き継ぎながら、さらにデメリットであったコーナー部分の使い勝手が向上しています。レイアウトとしては優秀で、海外では採用例も少なくありません。角にシンクや調理器具などを配置したレイアウトもたまに見かけます。一方日本の既成品システムキッチンではA型の商品数は多くありません。オーダーキッチンなどのこだわりの家づくりをお考えの場合には検討してみるとよさそうです。
・U型(コの字型)
メリット:作業動線が短く移動もスムーズ
デメリット:収納しにくいコーナースペースが2箇所もある
L字型にもう一辺足されたような形のU型もしくはコの字型と呼ばれるキッチンレイアウトもあります。L型同様シンクとコンロを90度重なる辺にそれぞれ配置することで作業動線が効率的になりますが、L型でデメリットであったコーナーのデッドスペースが2箇所に増えるだけでなく、各辺の長さが部屋によってさまざまなため既製品として展開することも難しく、システムキッチンとしてはあまり見かけません。オーダーキッチンの場合は、コの字の一辺を対面にするようなプランもあります。