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2020.06.30 コラム

「換気」を考えたリフォームをしよう!【part2】

周到に計画された換気でお家の空気環境は大きく変わります。高気密住宅の普及で義務化された24時間換気の必要性と実際の換気計画の立て方や換気の種類についてわかりやすくまとめました。換気に配慮したリフォーム計画の参考にしてみてください。

 
換気計画を立てる
【個別換気かセントラル換気かを選ぶ】
まず換気経路の計画を立てます。家族構成や生活パターンなどから個別換気・セントラル換気のいずれか適切な方式を選びます。
・個別換気の特徴とメリット
各居室ごとに相当の排気量を持つ換気扇を配置するのが個別換気です。24時間換気の計画対象となるのは常に人がいることが想定される居室部分のみで、浴室、トイレなどは局所換気で対応します。各部屋で適当な換気量を得やすく確実性の高い換気方法と言えます。2世帯住宅などで伸び盛りの若年層と高齢者層が同じ住宅に住まう際、温度環境を全部屋同じに保つのが家族全体の快適性に繋がりにくいと判断すれば各部屋の気密性を高められる個別換気を選ぶのが適当です。
・セントラル換気の特徴とメリット
給気口を各居室部分に用意し、住宅の各所の空気の動線を確認した上で浴室やトイレに設置した換気扇で排気をするのがセントラル換気です。各部屋の間のドアは開け放しておくか通気性の高いドアを採用するのが基本です。トイレや浴室に付ける換気扇を局所換気・24時間換気兼用なものにすることでシステム費やランニングコストを削減できます。
【換気扇の種類を選ぶ】
換気扇は換気方法の違いによって1種から3種に分類されます。住宅用としては、より高性能な第1種換気か普及の進んでいる第3種換気いずれかから選ぶことがほとんどです。この他に比較的新しい換気方法としてパッシブ換気というものがあります(まれに第4種換気と呼ぶこともあり)。以下ではそれぞれの換気方法について詳しくご案内しています。
・第1種換気設備(機械給気機械排気システム)
メリット:エネルギー効率が良い、花粉や排ガスなど外気の汚染を持ち込まない、騒音が少ない
デメリット:初期費用とメンテナンスコストが高額、電源を止めるリスクが高い
空気の出し入れをいずれも機械を通して強制的に行うシステムです。外気を取り込む際に熱交換機を通し、室内の空気が持つ熱を使って外気を温めて(または冷やして)から室内にまた送り込む方法で室温を保ちながら換気ができるので、冷暖房を余分に使わなくて済む(つまり、エネルギー効率が良い)のが特徴です。国内では「ロスナイ」という呼称が普及しています。綿密な空気調整が必要な介護施設や花粉などのアレルギー症状に悩まれている方、または防音や湿気対策のため特別に気密性を高めなければいけない空間(スタジオや精密機械を置く部屋など)などに適していると言えます。デメリットはとしては、高性能がゆえに初期費用やランニングコストが高くなる点が挙げられます。また排気給気ともに開口部を作らない換気システムのため、窓を閉め切った状態で電源を止めてしまうと室内の空気環境が極端に悪化する原因となります。
・第2種換気設備(機械給気自然排気システム)
メリット:消費電力量が少ない
デメリット:エネルギー効率が低い
外部の空気を強制的に機械で取り込み、排出は開口部から自然に行うタイプのものは第2種換気システムと呼ばれます。病院やクリーンルームなどで採用されることが多いですが、住宅用としてはあまり見かけません。
・第3種換気設備(自然給気機械排気システム)
メリット:低価格化が進んでいる、メンテナンスが楽、消費電力量が少ない
デメリット:エネルギー効率が低い
第3種換気は空気の排出を機械で行い、外からの空気は開口部から自然に行われるタイプのものです。設置費用・ランニングコストが安く、メンテナンスも容易なため住宅用として一番普及が進んでいる換気扇の種類です。高気密住宅と相性の良い熱交換器付換気システム(第1種換気)のエネルギー効率の良さが多く取り上げられるようになり第3種換気は省エネに反すると思われがちですが、より温暖な地域であれば消費電力の小さい第3種換気のほうが省エネである場合も考えられます。また設置費用に対する費用対効果という面では第3種換気の方がほとんどの場合で勝っていると言えます。経済性に関して分岐点がどこにあるのかはお住まいの地域によって異なるため、導入に当たっては簡単にシミュレーションしてみることをお勧めします。
・パッシブ換気(自然換気)
メリット:電気代がかからない、メンテナンスがほぼ不要、室内をまんべんなく換気できる
デメリット:夏場単独では換気不足になりがち
計画自然換気のようにも言われるパッシブ換気は空気が温められると上昇する動きを利用した無電力で行われる換気システムです。給気は床から行われ、床下に設置した暖房器具で空気を温めて部屋に流し入れます。第三種換気のように給気口から冷たい風が入ることもなく、さらに床全体が温まるため輻射温度が室温に近づき体感温度としても快適性の高い空間に近づけます。排気は屋根に開けられた煙突から、暖かい空気が上昇する動きを利用して自然に行われます。空気の流れが下から上に集められる形で換気されるため横の流れに比べて空気の停滞が起こりにくく、住宅全体の空気をまんべん無く入れ替えることができる点もメリットに入ります。逆にデメリットとしては、夏場は空気の入れ替えが十分に行えないことがある点です。建築基準法の24時間計画換気の基準も単独では満たせないため、パッシブ換気を採用する場合は夏場の対策として上述の第1種換気や第3種換気を並行して取り入れる必要があります。