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2020.07.27 コラム

木造は65年、RC造は120年以上?建物の寿命の本質を知る【part1】

よく聞く木造30年、RC(コンクリート)造37年という住宅寿命は役所的解釈に過ぎず、実際は築100年を超す京都の長屋などをリノベーションして住むような方も少なくありません。より実質に沿った住宅寿命を推し量る研究はいくつかあり、木造は現時点で65年を平均寿命とするデータが支持されています。一方マンションなどコンクリート造の場合は物理的には約120年は持つというデータが出ています。そこで今回は建物の寿命の本質について解説します。

 
1.住宅寿命の「木造30年・RC造37年」はあくまでお役所的
国土国交省では便宜上の木造住宅の寿命を約30年としていますが、これは取り壊された建物の築年数の平均である27年、または不動産のストック数(住宅総数)とフロー数(新築件数)で割ったサイクル年数に当たる30年という数字から取ったもので、この寿命目安があまりにも現実に即さないという話はよく聞くところです。RC造のマンションにしても37年という数字は建て替えられたマンションの平均築年数であり、その中には都市計画といった耐用年数以外の要因によって早々と取り壊された例も含めての数字です。その一方で日本最古築700年の民家や、現存する世界最古の木造木造建築物である築1400年超の法隆寺のような例を見ると、建造物の潜在性は底知れないとも感じます。さすがに何百年の月日を超えるには相当に質の良い素材と施工であることや、代々住み継ぐ人々がその家を守り抜く意思を共有していることに加え、天災や都市計画といった外的な要因から逃れられる「運」といった複数の要因が重ならないと難しいものの、こう考えると30年や40年で早々と住み手が飽きてしまったりで壊される住宅がいかに不運かを思い知らされるようです。
・実際どれくらいの築年数の住宅にみんな住んでる?
1980年代のバブル期と重なることから築26~35年の住宅に住む人が最も多いです。築年数65年以上の物件のうち少なくとも6割、つまり全体で2%は終戦(1945年)以前に建てられた築70年以上の建物であると考えられます。※平成19年9月1日に刷新した景観政策で町屋の再生プロジェクトがさかんになってきている京都では、築100年も経った町屋を再生させる企業なども注目を集めています。このように、日本には戦後の建物を中心にさまざまな世代の建物が入り混じっていることに気付きますが、古くなればなるほど質が悪いとは決して言えないことに注意していただきたいです。例えば学生時代に築40年のアパートに住んだ経験がかなり過酷なものであったとしても(冬は寒く夏は暑く、カビがすぐ生え冬でもゴキブリが出る…など)、それを築60年の一戸建てを買わない理由に加えるのは少し早合点かもしれません。その住宅に特に思い入れのない人によって所有される築40年のRC造アパート賃貸や、適時のメンテナンスを欠かさず先祖代々大事に住み継いできた築60年の木造住宅。その住まいの快適性や質には築年数だけで語り切れない要素が複雑に絡み合っていると言えます。また耐震性さえ確保できれば今ではスケルトンリノベーションなどで構造だけ残し、住まいを丸ごと作り直すこともできます。こういった考えから、一定の年数をすべての住宅の寿命として定めることはナンセンスだと言えます。※総務省統計局では1998年以降毎5年ごとに同様の統計を取っていますが、平成10年(1998年)までのものは1950年以前の項目が終戦前(1945年以前)と終戦後(1945~1950年)に分かれていました。この時期の数値を元に築70年以上の建物が全体の少なくとも2%以上は占めていることが算出できます。
 
2.各研究が示す、より実質的な住宅の寿命と耐用年数
実は最初にご案内した建前の寿命とは別に建物の推定寿命についての研究はいくつか行われています。以下はそれらの研究から出された推定寿命とその根拠をまとめたものです。
・木造の実質平均寿命は65年
木造住宅の寿命について引用されることが多い研究が早稲田大学の小松幸夫教授らが行ったもので、一番新しい2011年の調査では65年という平均寿命を算出しています。
・マンションの物理的寿命は120年
マンション・アパートに多いRC(コンクリート)造の建物については、物理的な寿命つまり実質的な耐用年数として、建材であるコンクリートの耐久年数から117年ないし120年という数字が出されています。一方、上述の木造住宅と同様残存率を使って算出した平均寿命は68年となっており、耐用年数に至るまでに建て替えられる場合がいかに多いかが読み取ることができます。