快適な住まいづくりは断熱から!断熱材の種類と特徴
木造住宅における断熱は、材料の素材の性質と施工品質が断熱性能に影響します。では、その性能を確保するために用いる断熱材の種類と特徴はどの様なものでしょうか。今回は断熱材を選定する際の初歩知識として、その種類と特徴についてご紹介します。
1.断熱材とは
室内の温熱環境に大きな影響を及ぼす建物の断熱性能を左右する重要な部材が断熱材です。木造住宅の場合、断熱材を最上階の天井裏や外壁内部、床下に設置することが一般的ですが、最近では、より高い断熱性能を求め、屋根の裏側や柱や梁などの構造体の屋外側、コンクリート製の基礎の内、外のいずれかにも設置する建築会社も増えています。
2.断熱材の種類
断熱材は内部に空気を固定することで熱を伝えにくくしています。内部の空気が動くと、対流による熱移動で熱が伝わり断熱材の役割を果たしませんし、もちろん、空気が抜けることも断熱材の性能低下につながります。断熱材の素材は、空気を固定する方法ごとに分類でき、「繊維系」と「発泡プラスチック系」に分けられます。繊維系は、「細かい繊維の間に空気を閉じ込めた」もので、発泡プラスチック系は「独立した気泡の中に空気を閉じ込めた」ものです。これらは素材の特徴ごとに、さらに細かく以下の様に分類できます。
繊維系…無機繊維系…ロックウール、グラスウール
繊維系…天然繊維系…セルロースファイバー、ウールブレス
発砲プラスチック系…ビーズ法ポリスチレンフォーム、押出法ポリスチレンフォーム、硬質ウレタンフォーム、フェノールフォーム
3.繊維系断熱材の特徴
鉱物を人工的に加工する「無機繊維系」と新聞古紙や羊毛などの「天然繊維系」に分けられます。
【無機繊維系】
・グラスウール…ガラスを溶かし細い繊維にして薬品で線状に加工した断熱材です。
・ロックウール…鉱物を溶かし繊維状にして薬品で綿状に加工した断熱材です。
無機繊維系のメリットは、比較的安価で施工が容易、軽量、防音性に優れている、不燃で有毒ガスを出さないという点にあります。反対にデメリットは、繊維が肌に触れるとチクチクした刺激を感じる場合がある、国内の発散基準以下ではありますがホルムアルデヒドなど複数の有害物質を含むという点です。
【天然繊維系】
・セルロースファイバー…新聞古紙を細断したリサイクル断熱材です。
・ウールブレス…羊毛を利用した断熱材です。
天然繊維系のメリットは、調湿性、防音性、防虫性、小さな隙間にも充填可能、自己消化性があり有毒ガスを出さない、ホルムアルデヒドなどの有害化学物質を含まない、製造エネルギーが小さく済むため環境に負荷を掛けないという点にあります。反対にデメリットは、比較的高価で専門業者による施工が必要という点です。
4.発泡プラスチック系断熱材の特徴
様々な種類のプラスチックを発泡させ、気泡の中にガスを閉じ込めた断熱材です。硬質ウレタンフォームは現場吹付けが多く、それ以外はボード状の製品のみです。
・ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)※一般的な発泡スチロール…ポリスチレン樹脂と原料ビーズを金型に充填して加熱発泡させたものです。
・押出法ポリスチレンフォーム(XPS)…EPSと同じ素材を使い、金型での発泡ではなく押出し機で成形したものです。
EPS、XPSのメリットは、水や湿気に強い、軽量、加工性に優れる、ホルムアルデヒドは含んでいない、ノンフロンという点にあります。反対にデメリットは、小さな隙間や複雑な形状の施工には不適(ボード状製品のみ)、可燃性という点です。
・硬質ウレタンフォーム…ポリスチレンフォームとは違う種類の樹脂と発泡剤を使用して製造します。EPS、XPSよりも優れた熱伝導率が特徴です。建築現場では、ボード状の成形品よりも吹付けが多用されています。フロン使用製品がありますが、住宅用吹付けウレタンについては、業界団体のウレタンフォーム工業会が2019年3月を目標にノンフロン化を宣言しています。
硬質ウレタンフォームのメリットは、水や湿気に強い、軽量、ボード状製品は施工性に優れている、現場吹付けタイプはわずかな隙間にも充填できる、ホルムアルデヒドは含んでいないという点にあります。反対にデメリットは、可燃性、ボード状製品はカッターでの切削は不向き、現場吹付けタイプは専門業者による施工が必要という点です。
・フェノールフォーム…フェノール樹脂を発泡硬化した断熱材です。フェノール樹脂はフェノールとホルムアルデヒドに触媒を使って作られます。
フェノールフォームのメリットは、加工性に優れている、耐火性、難燃性で有毒ガスをほとんど出さないという点にあります。反対にデメリットは、比較的高価、小さな隙間、複雑な形状の施工には適さないという点です。