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2020.07.23 コラム

Q値を知ってエコな家にリフォームしよう!

Q値(熱損失係数)は建物の断熱性能(冷えやすさ)が推し測れる指標です。このページではエコで快適な住宅を実現するためにQ値の低い住宅にする具体的な方法をご案内しています。

 
1.Q値の意味と使い方
熱損失係数を意味するQ値は、住宅の周囲(壁だけでなく床、天井も)や、換気によって建物から逃げる熱の合計を表します。断熱性能や建物の冷えやすさを推し測るための指標です。値が大きいほど寒くなりやすく、一定室温を得るのにより多くの暖房エネルギーを消費します。外気温が室内より低い場合に室内と外気の温度差にこのQ値を掛けると住宅から逃げる熱損失を求めることができます。熱損失の値を知ることで、その部屋ないし住宅に必要な暖房設備の容量を推し測ることができます。またエアコンなどの「○畳用」といった仕様はあくまで目安で、Q値の低い住宅(=エネルギー効率が高い住宅)は低スペックの暖房機器でより広域を暖めることができるためより省エネ住宅だと言え、後でご案内するような方法で住宅のQ値を低めることはエコでお得に快適な生活の実現につながります。
・Q値の単位
旧単位は「kcal/㎡・h・℃」ですが、近年は国際的に使われる単位(SI単位)である「W/㎡・K」に統一されてきています。通常の生活で外気の気温に伴って逃げる熱を1平方メートル換算で示しています。
・Q値の計算方法
熱損失係数(W/㎡K)={壁・床・屋根の熱損失※ + 換気による熱損失} ÷ 延床面積(㎡)
Q値は、壁・天井・床に使われているそれぞれの素材の断熱性能と使用される換気扇の性能を使って計算されます。
(※壁・天井・床の面積とそれぞれの部材ごとの熱還流率(W/㎡K)を掛け合わせた数値の総和)
 
2.熱損失係数(Q値)の低い省エネ住宅にするには
以下ではリフォームや新築の際に目安にしたいQ値とその効果、またQ値を決める要素についてご案内しています。
・省エネ基準に甘んじない省エネの追求
次世代省エネルギー基準は15年以上も前に作られた基準値であり、世界的に見れば相当に低いレベルであるといわれています。さらに基準はあくまで仕様する素材や設計・デザイン面を評価したもので、断熱に関して設計と同等レベルで重要と言える施工の質を評価できる基準がないことは覚えておくべきです。一方日本でも断熱に真剣に取り組んでいる団体もあります。高断熱高気密住宅の構法を全国的に推進している新住協では「Q1.0住宅」、つまりQ値1.0W/㎡の住宅を掲げて会員の工務店を中心に技術力の向上をはかっています。これは関東地方の一戸建て(延床面積150㎡/45.4坪)がまるまる、8畳用の小型エアコン1台で暖められる程度の省エネレベルです。次世代省エネ基準では関東地方のQ値を2.7W/㎡まで許していますが、工務店の技術力次第でさらに高いレベルを求めることも可能です。もちろん断熱材にかけられる予算にもよりますが、暖房設備とランニングコストも含めてどちらがお得かのシミュレーションは詳細に行いながら貪欲に断熱を追求することで、エコで快適な住環境を目指してみるのもいいかもしれません。
・住宅のQ値を低くする方法
Q値を下げて家の省エネルギーを行うには以下の3つのポイントが挙げられます。
<「断熱材」の厚さと性能>
まず想像し易いポイントとしては断熱材の選定が挙げられます。予算と一番関係が深い断熱材ですが、薄くても高い断熱効果が得られるものほど高性能・高価な傾向があります。
<太陽熱を最大に活用する「デザインと設計」>
窓から入る日光は効果的に利用すれば室温を自然な方法で上げるのに有効です。夏場と冬場の日射の入光角度の違いを利用して窓の位置と大きさを設計・デザインします。一方で窓を大きくすればするほど窓を通して逃げる熱が多くなるため、地域ごとに最適な窓の大きさは異なります。
<断熱材の効果をきちんと発揮させるための「施工の質」>
Q値の計算には断熱材の厚さや性能といった要素が加味されますが、これは期待通りの断熱性能(パフォーマンス)が発揮できる欠陥の無い施工が前提となっています。施工の質ないし精度は工務店の知識と経験によってかなり大きな差があり、断熱性能に直結します。間違いのない施工店の選定はとても重要です。