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2019.12.13 コラム

耐力壁とはどんな壁?間取り変更の際に知っておきたいこと

リフォームの際などに耳にすることがある「耐力壁」という言葉。耐力壁とは何か、どんな役割があるのかをご紹介します。また、リフォームの際に耐力壁は移動できるのかなども解説していきます。

 
1.耐力壁とはどんな壁?
耐力壁とは、垂直方向と水平方向からの力に抵抗して建物を支える壁のことです。住宅などの建物には、さまざまな方向から「力」がかかっています。まず、建物そのものの重さが荷重となる垂直方向からの力。そして、地震の横揺れや台風など横からの強風による水平方向からの力。これらの力に抵抗して、建物を支える役割をもつのが耐力壁です。真上からかかる重さは柱も支える役割を果たしていますが、横からかかる強い力に対抗するには柱よりも耐力壁の存在が重要です。
また、耐力壁にはいくつかの種類があります。おおまかに言うと、建物の工法や構造によって違うのですが、同じ工法でも複数の種類があります。
・木造軸組工法の耐力壁
木造の一戸建てで多く採用されている工法の軸組工法(在来工法)の場合、代表的なのは筋交いを使った耐力壁です。筋交いとは、柱や梁、土台、床で構成された四角い枠内に斜めに渡した補強材のこと。横からの力が加わったときに、この四角い枠が平行四辺形になるなど建物が歪むのを防ぎます。梁や壁だけで十分な強度が保てる場合以外は、一定の割合で筋交いを入れることが建築基準法で定められています。木造軸組工法では、筋交いを1本通した片筋交いのほか、クロスするように2本通したたすき掛けと呼ばれる筋交いがあります。また、筋交いではなく構造用合板やMDF(木質中質繊維板)などの面材を使って耐力壁にするケースや、鋼製の柱と梁でつくられた枠に金属製の筋交い(ブレース)をたすき掛けにして取り付ける耐力壁ブレース工法などもあります。
・2×4(ツーバイフォー)工法の耐力壁
2×4工法は、木造枠組壁工法とも呼ばれる工法。木製パネルと2インチ×4インチの角材でつくられた面材で壁や床、天井をつくり、面で箱型に組み立てるものです。この面材が2×4工法の耐力壁。建物に加わった力は躯体全体に分散されるため、地震の横揺れなどにも強い工法です。
・鉄筋コンクリート造
マンションなど鉄筋コンクリート造の建物の場合、建物を支える耐力壁と、非耐力壁が混在しています。見た目は同じですが、壁内の鉄筋量や壁の厚みが違います。開口部が大きくとられた壁は非耐力壁であることが多いです。
耐力壁は量だけでなく、どこに配置するかといったバランスを考慮しなければ、地震や台風などの際に建物の倒壊につながる恐れがあります。かつて、木造住宅の耐力壁の量や配置については、具体的な規定がありませんでした。そのため、建物の重心(重さの中心点)や剛心(強さの中心点)の位置を考慮しながら、構造設計を行う必要がありました。しかし、2000年に改正された建築基準法に各階の壁量のバランスを検証するための具体的な方法が盛り込まれ、バランスが取れているかの判断がしやすくなりました。
 
2.耐力壁があることで、リフォームにどんな制約が出てくるの?
・大きな窓など開口部や間取りに制約
2×4工法は壁の「面」で建物を支えています。木造軸組工法に比べて削れない耐力壁が多く、間取りや開口部のプランに影響します。木造軸組工法の場合も、2×4工法に比べると自由度は高いですが、それでも大きな窓を多く設けた場合に、他の面に耐力壁を増やしてバランスを取るなどの対策が必要です。また、柱や耐力壁は1階と2階で同じ位置に設けるのが耐震性能を確保するために望ましく、そのため間取りに制約が生まれることになります。
・一戸建てなら耐力壁の移動は可能
リフォームやリノベーションで間取りを変更する場合、耐力壁を移動したり、開口部を設けたりすることはできるのでしょうか。木造住宅の場合、耐力壁を撤去して広い空間をつくる、耐力壁に大きな窓を設けるなどのリフォームは、技術的には不可能なことではありません。しかし、耐震性など躯体の強度を保つためには、他の場所に耐力壁を新設する必要があるなど、コスト的に見合わないこともあります。耐力壁を新設する場合、その家の状況によっては基礎工事が新たに必要など、場合によっては大きな費用がかかることも。その費用をかけてまで、大がかりな間取り変更が必要かどうか、という判断になります。
・マンションの場合、耐力壁の移動は不可能
マンションの場合、コンクリートの耐力壁は建物の構造を支える躯体であるケースがほとんどですから、個人の所有ではなくマンション全体の共有部分。つまり、住人が勝手に撤去したり穴をあけたりしてはいけない部分になります。マンションは耐力壁は変更できないと考えておきましょう。住戸内の間仕切り壁や天井、床を撤去して行うスケルトンリフォームの場合でも、住戸内に一部、コンクリートの壁が残ることがあるのは、それが構造を支える耐力壁だからです。
・耐力壁を移動、変更する際の注意点
建築の専門知識がなければ、設計図面を見てどれが耐力壁かを判断することは難しいです。また、木造住宅で、壁をトントンと叩いて撤去できる壁かを調べようとする人がいますが、それで正確な判断はできません。では、リフォームで間取り変更をする際、どんなことに気をつければいいのでしょうか。壁は、耐力壁でも非耐力壁でも物理的、技術的に撤去することは可能です。しかし、単に撤去しただけでは、建物に強度に問題が起きてしまいます。『壁をなくして、広い空間にしたい』という施主の希望を二つ返事で引き受ける会社が親切な会社とは限りません。建物の構造を理解していない可能性があるからです。大切なのは、構造をきちんと理解している会社に相談することです。